ああ、いい車だったよ…。
5年乗りましたからね。クルマ自体の感想ももちろん、「人生の節目」的な意味でも結構思い出があります。
点数で言うなら95点くらい。ただ、不満がなかったわけではないです。
クルマ雑誌のレビュー風に星で出すならこんな↓感じですかね。満点は5つ。
- デザイン ☆☆☆☆
- 内装 ☆☆
- エンジン ☆☆☆
- 走行性能 ☆☆☆☆
- 乗り心地 ☆☆☆
- 燃費 ☆☆
- 後部座席 ☆☆☆☆☆
- 荷室 ☆☆☆
- 維持費 ☆☆☆
- 本体価格 ☆☆☆
- 改造性 ☆☆☆☆
そもそも他のクルマに乗った機会が少ないので比較が難しいですが、ちょっとでも不満のあったところを減点してこんな感じです。
1 デザイン ☆☆☆☆
見た目はとても良かったと思います。車をよく知らない人からは「ノート」と気づかれないくらいだったので、ぱっと見のインパクトはとても気に入っていました。
実際に後期型以降、特にe-POWERが追加されてから、ノートニスモをよく見かけるようになりましたが、ほとんどが非MTだったので、見た目が気に入って買った人も多いと感じています。
ただ、一応MT仕様乗りとしては「同じノートニスモでもこっちはMTだけどな!」と勝手に思ってました。ホイールとマフラーでわかるんですよ。「S」乗りの方ならわかってもらえるはず。加速音も全然違う。ええ、ただの自己満足です。
2 内装 ☆☆
反面、内装はもの足りない感じ。ただこれはニスモに限った話ではなくて、ベースの「ノート」がそもそも良くない。2012年の発売から内装はほぼ同じままで、同年代のクルマと比較してもシンプルそのもの。チープさは出てましたね。
特にスイッチ類。レイアウトも含めてマーチとほぼ同じなんですよ。ベースが150万円くらいのクルマなので贅沢は言えませんが、同クラスのクルマならもっと頑張っていましたからね。ノートだけがちょっと悪かったのかなと。
機能が同じでも質感が良い方が気分いいじゃないですか。運転手が見るのは内側からなので、やっぱり内装って大事ですよ。
シートはよかったです。私はレカロに替えていましたが、標準のスポーツシートもアルカンターラ張りでいい感じでした。
実は、本当に最終的にノートを手放す原因は内装だったと思っています。約10年前のデザインなので当たり前なんですが、現行のクルマと比較した時の差が大きくなってしまって、このままお金をかけて手を入れたとしても、自分の満足するクルマにはならないのでは?と思ってしまったんです。
例えばホイールとか、外装は割とどうにでもなるじゃないですか。でも内装はどうやっても改造が難しいから諦めちゃった。そんな感じです。
3 エンジン ☆☆☆
貴重なテンロクNAで140馬力。ベースグレードにはない仕様で、上位クラスのジュークのやつを強引に載せたらしいエンジンはとてもよかったです。
ただ、サーキットで走るとすればパワー不足で、NAなので改造に限界がある、という点は悪いところかもしれません。
ニスモからCPUチューニングも(随分後になって)出ていますが、タイム的にはあまり効果がなかった?という噂も。マフラーとか触媒とか、吸排気系+エンジンチューンを全部やったとしても、160馬力を超えることはないのかな、と思っていました。
社外品は別ですよ。マインズとかN -TECから色々出ていると聞きます。エンジンは壊れると厄介なので、私はニスモ以外のパーツを付ける気はなかったです。まぁGT-Rみたいなクルマが特殊なだけで、普通は馬力がバンバン上がるようなこと自体おかしいんですよ。
4 走行性能 ☆☆☆☆
無改造の状態でも足回りがしっかりしていて走りやすかったです。公道レベルなら遠心力で体が吹っ飛ばされることもなく、安定して走れました。
これはサーキットでも同じ。私は結局最後までほぼ無改造のままサーキットに出ていましたが、十分走れました。
もちろん、本気で走るならもっと硬いサスやデフが欲しかったですが、全部やると100万円近く必要で、軽い気持ちで走っている私にはちょっと厳しかった。
まぁ無改造でサーキットも完璧にこなせますよ!ってGT-Rニスモじゃないんだから、贅沢言い過ぎですね。
ノートニスモSでは、エンジンだけではなくリアブレーキがディスク化されているのもいいところでした。標準だとドラムブレーキだったものを、かなり無理やりディスク化していたらしいです。標準仕様から「エンジン載せ替え+MT化+大口径マフラー+17インチホイール+ディスクブレーキ」で230万円は破格。というか、やりすぎ?
初期状態でデフがないことは色々意見があるようですが、全員がサーキットに行くわけじゃないのでデフなんかなくていいです。500台限定の特別仕様じゃあるまいし、デフが必要なのは一部の人だけ。車体価格を考えてもデフなしは妥当でしょう。欲しけりゃ付ければいいだけ。
1点気になるとすれば、サーキット限定の話ですが、ノートニスモはドアンダーです。車体が長いせいで何をどうやってもスピンしないらしいです。
安心感はありますけどね。FFでアンダーステア強めなのは、ちょっと物足りない部分かもしれません。
5 乗り心地 ☆☆☆
まぁ、良くはなかったです。平らな道なら問題ないんですけどね。凹凸のある道では硬いサスのお陰で結構な突き上げがあります。標準のサスでこんな感じだとすれば、サーキット仕様にしちゃうともっと酷いんでしょう。公道とサーキットを両立させることがそもそも無茶なんですが…。
ただ、私は好きでした。同乗者にはやや不評。そんな感じ。
高速道路の継ぎ目でもガンガン来るので、クルマがそんなに好きではない人の文句は覚悟で乗るべきだと思います。やっぱりスポーツカーって同乗者のウケが悪いんですよね…。
6 燃費 ☆☆
お世辞にもよくはないです。リッターあたり14kmってところですかね。エコ運転を意識すると15km/Lを超えることもありました。
気分良く高回転までぶん回すと見る見る燃費は悪くなります。4000回転以上が楽しいクルマなんですけどね。燃費は悪くなるわうるさいわ、あまりいいことはないです、はい。
MTが5速なので、高速巡航で回転数が高めなのも気になりました。100kmで3500rpmは超えてたはず。トルクはあるのに巡航でずっと引っ張りっぱなし。なかなかの騒音具合でした。
サーキットで走るならクロスミッションでも良いのでは?と言われたこともあるんですが、岡山国際の裏ストレートでも5速まで入らなかったので、結局4速までしか使ってないんですよね。富士なら…いや、そもそも200km/hも出ないクルマで富士は厳しいかも。
燃料がハイオク指定で、コンパクトカーの割にガソリン代がかかるのは覚悟しておきましょう。今ってガソリン高いんですよね。現役の時はリッター160円でビビっていましたが、今後もガソリンは上がる可能性大。ますますスポーツカーには厳しい時代になりそうです。
燃費比較は同クラスでもちょっと見劣りする感じ。高速巡航なら20km/L以上出るんですが、街乗りオンリーだと辛いクルマでした。
7 後部座席 ☆☆☆☆☆
これは文句なしの満点。後部座席はスカイラインよりも広いです。E12型の先祖・T11ティーダの影響らしいですが、コンパクトカーで犠牲になりがちな後部座席がしっかり使えたのはとても良い部分でした。後ろに人を乗せるならこれ以上はないくらいの広さです。
そもそもコンパクトカーに後部座席の広さを求めることが無茶なんですが、ノートでは何をどうやったのか。私も不思議に思っていました。
これに慣れちゃったせいで私は「後部座席が狭いクルマ」がすごく嫌。アクアとかスイスポは非常に狭かった。まぁそれが普通なんですけどね。
ノートのいいところです。ニスモ仕様じゃなくても便利。このせいでサーキットではドアンダーだったわけですが、実質2シーターよりはずっと良かったです。そりゃ文句なしの満点ですよ。
8 荷室 ☆☆☆
まぁ可もなく不可もなし、といったところ。普通の状態ならキャリーケース2つか3つは積めます。コンパクトカーなら十分ですかね。「やや載る」くらいの積載量です。
ただ、前期型だけかもしれませんが、後部ハッチにライトがないので、暗い場所では何も見えません。ライトくらい付けてくれてもよかったと思うんですけどね。
9 維持費 ☆☆☆
コンパクトカーのいいところは維持費の安さだと思います。そこそこの性能で、そこそこ走れて、そこそこ人も乗る。
ノートニスモSの場合、これに加えてMTでエンジンが140馬力もあってサス硬めの面白いクルマでした。
…が、強引な改造?のせいで型式が「E12改」となっていて、車両保険や税金面で損していました。減税も何もなし、保険の優遇もなし、消耗品は高い、ガソリンもハイオク。見た目以上に維持費のかかるクルマだったと思います。
サーキットに出るならハイグリップタイヤは必須ですし、ブレーキパッドも高性能なものじゃないと危険。クルマ遊び全体がそうですけど、お金かかりまくりんぐでした。
それでね。どうせ色々改造もするじゃないですか。サスとかホイールとか。だったらちょっと上乗せして86でも維持費は同じだったのかな?と少し思います。まぁ2ドアクーペなので比較のしようがありませんが…というかホットハッチ自体がそういう意味で微妙なクルマでしたね。
10 本体価格 ☆☆☆
これも可もなく不可もなし。ベースのノートから大改造した割には安いといえるし、性能の割には高いともいえる。スイスポという比較対象があるだけに、激安とも言いにくい金額でした。
まぁこれは新車の話。中古車でいいなら結構安いじゃないですか。ちゃんとしてるやつなら良いのかもしれません。
私のノートもどこかで走ってるんですかねぇ。痛車にだけはなっていて欲しくないですが…。
11 改造性 ☆☆☆☆
これはサーキットで走ること前提の話。まぁまぁ改造できます。対応パーツは意外とたくさん用意されています。
パワーを上げることは難しいですが、駆動系などできることは色々あるらしく、改造パーツをたくさん積んだノートニスモは超速いです。
もちろん金額もかかりますが!…つまり、どこまで手を入れるか難しいところでもあります。ニスモ純正のオーリンズサスなんか40万円近くしますからね。工賃込みとはいえ、230万円のクルマで40万て。
調べるとわかりますが、ニスモ以外からも色んなパーツが出ています。サスペンションや駆動系の定番メニューから、変わったところの強化パーツまで色々あるので、86ほどではないにしても、割と思い通りにできるんじゃないですかね。速くなるかは別ですが。
私はあまり改造しないまま終わってしまいましたが、もしやるならデフとサスペンションと16インチ化はやってみたかったです。デフは必須として、16インチ化は結構スタンダードとのことで、意外と見た目もカッコよくなります。
「S」の証の17インチを捨てるのも変な話ですけどね。車格とタイヤ代・バネ下重量を考えると16インチが最適解だそう。ホイールが4穴で選択肢が少ないのがネックでしたが、ノートニスモを意識したホイールも多かったです。
16インチ化は特にタイヤ代が大きいですね。サーキットに行くならタイヤは消耗品。安いに越したことがないです。私は17インチのままでしたが、17インチのハイグリップタイヤって超高いんですよ。
プリウスがトミカみたいなタイヤな理由がわかりました。走れりゃいいならホイールが大きい必要もないですもんね。
クルマを手放し、次買うクルマはホイールは小さいやつにしよう…そう思っていた時期もありましたが、気づいたら17インチのやつを買ってました。やったね!
全体的に振り返って、やっぱり一番の欠点は…内装ですかね。メーターは前期型の使い回しだし、スイッチ類は安っぽいし。正直アルカンターラの感触以外に良いところがなかったです。ノートニスモの初期型はハンドルにスイッチ類が一切なく、オーディオの操作も全く不可。一応「Zニスモ」のハンドルを使っている!ということでしたが、スイッチが何もないならmomoステでも良いわけで…。(というか、Zのハンドルにはスイッチありますし)
外側の見た目が良かっただけに、内装はマイナス面が目立ちました。特にここ数年、クルマの安全装備やデジタル化が進化しているので、現行ノートの内装もかなり気合が入っています。E12型の反省かな、と個人的には思っています。
ニスモロードカー=硬派なイメージだったのが一気に変わったのがノートニスモあたりからですね。私も最初ノートニスモの存在を知った時、ニスモ仕様なんか400Rとか380RSみたいなガチのやつしかないと思っていたので、日産車で手頃な価格でサーキットも走れてしかもMTなホットハッチがあるとは思いませんでした。もういっそポロGTIかシロッコでも買おうかと思ってたくらいですからね。
ニスモのブランド向上にはとても意味のあったクルマだと思います。ブームが一周したのか乗り換えた人も多いと思いますが、その分中古車も出てきていいんじゃないですかね。私のノートも一瞬で売れたそうなので。状態良かったからね…。
現行の「オーラニスモ」もノートニスモがあったから存在するクルマ。e-POWERのみなのでそう言う意味では物足りませんが、ノートニスモもe-POWERばっかりだったので当然ですね。やっぱりMTって売れないんですよ。
振り返るとしんみりしますね。いろんなところに行った思い出とか。ノートニスモに乗っていて悪い思い出はひとつもないです。気になるところはありましたが、事故ったとかトラブルに遭遇したとか、そういう負の思い出がひとつもない。楽しかったですねぇ。
今、あのクルマがどうなっているのか、知れるなら見に行きたいですね。