2020年12月2日水曜日

E13型ノートの話

ついに、というかようやく出てきたE13型ノート。新型が正式に発表されて、ある意味予想通りなところもあれば、噂とは異なる部分もありました。


私が新型ノートで注目していた部分は以下のとおり。

  1. デザイン
  2. 広さ
  3. 価格
  4. 「NISMO S」の設定ができそうか

まずデザイン。実はこれに関しては少し前に知ってました。まぁツテってやつです。ちゃんとカー雑誌にチクったりせず、匂わせツイートもせず、心の中にとどめてましたからね。えらいでしょ。

※画像は日産HPより


新型ノートを最初にデザインを見た感想はもちろん、「アリアですやん」。どう見てもちっちぇーアリア。フロントはもちろん、リアなんかそのまんま。日産は全体的にアリアのデザインの方向性で行くんでしょうか。

アリアは発売前のかなり早い段階からデザインが発表されていましたが、今から考えると新型ノートのデザインも発表されてたってことみたいですね。似てるというかそのまんま。

完全な電動SUVとして華々しく発表されたアリアですが、実際に発売されるのは後から発表された新型ノートのほうという。発表順どおりに発売される時代は終わったんですかね。


ちゃんとアリアも発売されるはずなんですが、アリアはずっとこのままコンセプトカーのようなそうでもないような、中途半端な状態で存在し続けるような感じがしなくもない。アリアもなかなかインパクトのある車だと思うんですけどねぇ。後から新型Zとか色々出てきちゃったから、その凄さが霞んでるだけでしょうか。


そういえば、やっぱり各雑誌の「予想図」なんかアテにならないものですね。直前くらいにアリア風のデザインが出てきた程度。まぁそんなものですよね。



次に広さ。E12型はC11ティーダの後継でもある関係で、E11型よりも広さ重視でした。コンパクトカー=多少狭くてもいいよね、みたいな作りの車が多い中で、E12型の広さは群を抜いてました。後部座席に人を乗せた時に悪く言われたことが全くありません。5速MT+ハイオク+ダウンサス+大口径マフラー、のE12改ノートニスモでも、後部座席の広さはそのままでしたからね。逆に他のコンパクトカーの狭さ(アクアとか)に驚くくらい。


で、新型ノートはどうかと言うと、ちょっと狭くなっているようです。ホイールベースが20mmほど短くなりました。

そもそもE12型はホイールベースが広すぎて、E12改では「スピンしたくてもできない」ほどのドアンダーでした。(そのため単純なコーナリングではマーチニスモSの方が優れてるんだとか)

まぁ元が広すぎただけでもあるんで、それでも他のコンパクトカーよりは余裕があるそうですけどね。広さを重視しすぎると車重やハンドリングにも影響するんで、この辺りが妥協点なのかもしれません。(後部座席がスカイラインより広いE12がおかしいんです。)


内装の質感は良さそうですね。E12型は、他の同クラスのコンパクトカーと比較して、内装が弱い印象でした。2000年初頭くらいのデザインをずっと使ってましたからね。もっとオシャンティーにしてほしかった。

E13型ではメーター類がフルデジタル化し、ナビもタブレットのような操作感になっていました。USBの穴まで付いてます。



さて価格について。E12型は昔から広いグレード展開で、それがe-powerが追加されてからさらに悪化しました。NISMOだけでも4グレードあって、最終的にはブラックリミテッドなる特別仕様が増えていました。通常仕様にもガソリン仕様とe-powerでそれぞれ展開があって、青がキレイなオーテック仕様や、挙げ句SUVモドキのグレードまで追加される始末。正直ワケがわかりませんでした。


新型ではそのあたりがスッキリしています。まず「e-powerのみ」なのでガソリン仕様は選びようがありません。このへんも事前の予想通りです。E12型でもe-powerしか売ってないような状況だったらしく、e-powerとの価格差があるにも関わらずガソリン仕様(フェンダーが青くない)はほとんど見かけませんでした。なのでe-powerオンリーは予想できました。

が、それはつまり価格が高くなるということ。乗り出し価格は税金やナビなどのオプションで何だかんだ高くなりがちなのに、カタログ価格で最低200万円〜の設定。なかなか強気です。


今のところグレードは3段階。将来的にはオーテックと4WDが追加されるそうです。NISMOは発表なし。

ただ、標準グレード?と思われる「S」と、上位グレードの「X」で価格差は15万円程度。どうせ200万円出すならXでも良いと思うんです。色もXの方が豊富。Xはツートンも含めて12色の展開です。Sは7色。赤と青以外はモノトーンしか選べません。Sでも2,029,500円なので、それなら15万円出してXにしたくなります。

この他に謎のグレード「F」があります。カタログを見る限りだと、Sよりも色々と省かれていて燃費もSより上の、この手の車にありがちな「カタログ掲載用見せるためだけのグレード」にも見えますが、どういうわけか値段がSよりも高い。(2,054,800円)

法人用とかそういうのですかね。どうせ今度ディーラーで新型ノートの見積もりをもらうことになると思うんで、「F」の正体についてもその時に聞いておきましょうかね。


金額面で気になるのは、「実質付けないと話にならないオプション」が多そうなこと。元々E12型の時からそういう傾向はあったんですよね。私のノートニスモSでは、アラウンドビューモニターや自動ブレーキなどの便利装備が「選べない」、かつLEDヘッドライトなどが標準装備だったため、そもそもオプションとして選べるものが無かったんです。そのくせエンジン載せ替え+5速MTなどの改造済みだったんで、結構お得だったんですよ。

これが、例えば「e-power NISMO S」とかだと、そのままでもNISMO Sより高いのに、アラウンドビューモニターなどの安全装備オプションを付けると、ノートのくせに300万円オーバーの超強気設定でした。それでも売れてたのが不思議ですけどね。

この傾向はE13型でも変わらず。200万円〜の価格設定とは言いますが、本当に200万円ちょっとでE13ノートを買ったとしても、e-powerこそ付いていますが、それ以外が中途半端な仕様になることは間違いないです。ナビやアラウンドビューモニターは当然として、LEDヘッドライトもオプションなので、うっかりケチるとハロゲンランプです。

しかも、上級グレードでもてっちんホイール+カバー。アルミホイールはオプション。上級グレードだとアルミホイールやLEDヘッドライトくらいは標準でも良いと思うんですけどね。ちょっと強気すぎるかなぁと。見積もりを取るまでもなく、300万円台は覚悟したほうが良さそうです。

恐らくオーテックではある程度のオプションがセットになっていると思われますが、さてオーテック仕様はいくらになるのやら。私はブログのタイトル通りブルーが好きで、特に群青が好きです。英語で言うとウルトラマリンブルー。オーテックブルーはまさに好みの色なんですよね。

ただこの色はオーテック専用。ずっこい商売ですよ。ギターの色をこれにして欲望を誤魔化しましょうかね・・・。



さて最後。「E13型ノートに”NISMO S”」の設定はあるのかどうか。

今のところオーテック仕様は12月発売と予告済みですが、NISMO仕様の設定については特に発表されていません。ですが、まず間違いなく設定されるでしょう。現時点でこれだけ人気なんだから、設定しないわけがない。

それを裏付けるかのように、発表されたE13型にはスポーツ走行方面のアピールが一切ありません。普通に考えたら、その辺のアピールはNISMOの発表まで取ってあるんでしょう。


ただそこに、E12改のようなMT仕様の「S」も追加されるか?というと、ちょっと怪しいと思います。

まずベース車両が「e-power専用」になったこと。E12型の場合は後からe-powerをポン付けした仕様が出てきただけで、元はCVT仕様のみの平凡なコンパクトカーだったので、昔流行ったAT→MTのコンバージョンの如く、トランスミッションをそっくり取り替える荒業もできたんでしょう。

地味なポイントとして、E12型では軽量化のために一段階下のプラットフォームを採用していた関係で、サイドブレーキが当時から流行り始めた「フット式」ではなく、普通のサイドブレーキだったんですよね。もしE12型もフット式のサイドブレーキだったら、E12改のアイデアも出なかったかもしれません。

(まぁリアのドラムブレーキでも強引にディスク式にコンバージョンしちゃうくらいなので、全くできない改造ではないと思いますが・・・。)


こんな感じで、E12改でもベースからなかなかの大改造をしていますが、それなりに条件が整っていたからこそできた改造でもあります。これがE13型でもできるのかどうか。特にMTを入れられるのか?

これがNISMO仕様になるとして、これまで通りの「e-power NISMO」ならモーター出力を上げるとか、サスペンションを固め+ローダウンに替えるとか、これだけでもNISMO仕様としては十分。


ですが、MTの導入は難しいと思います。車内の構造がちょっと変わってるんですよね。

センターコンソールがかなりハイテクです。シフトレバー、というよりモードチェンジのスイッチですが、これがE12型のプリウス方式ではなくなり、マウスのようなレバーを手前に引けばD・Bレンジ、奥に押せばリバース、パーキングはレバー上のボタン、となりました。プリウス方式のシフトレバーが踏み間違い事故の原因だと頑なに主張する一部の勢力もありましたが、それはさておきややこしいシフト方式だったので、新型のこれは良いと思います。

で、問題はその下。センターコンソールの下に空間があります。
ここにはHDMIの差込口もあるのでタブレッドなどをここに置いて、車内で動画を見ることができる、などの使い方を想定しているんでしょうか。
・・・ということで、MTのシフトレバーを入れる場所がないんです。センターコンソールの上部から下までMTのスティックが貫通する、そんなわけないですもんね。トラックみたいな操作感になっちゃいますし。

そして、エンジン載せ替えは必須だと思いますが、同時にe-powerの部品も外すわけです。駆動用モーターも外して、エンジンとともにクラッチなどの駆動系部品を装着する・・・本当に大改造です。セドリック?をEVにコンバージョンしたYoutube動画がありましたが、それの逆ですよね。シリーズ・ハイブリッドのEV部分を外してエンジン載せ替えてホットハッチにしましょう、とか。何考えてんの?と言われかねない。

結局、E12改がそれっぽくまとまっているのは、元々のあるべき場所に改造後の各パーツがハマってるからなんですよね。CVTのシフトレバーがそのままMTのシフトレバーになっていて、足元にはクラッチペダルを追加、ブレーキをドラムからディスクに変更、エンジンはジュークからパクってきて排気量アップ。センターコンソールをぶち抜いたりはせず、各パーツを交換しただけ、とも言えるんです。

K13型マーチニスモが販売継続中なんですが、もしかしてMTのNISMOロードカーはこちらが担うことになるんでしょうか。マーチとノートで少々立場がかぶっていましたが、e-powerとMTガチ仕様だと完全に需要は分かれますし、どんな形であれ「ホットハッチ」には一定の需要はありますから、マーチのほうも是非とも継続してほしいものです。

・・・海外の「マイクラ」そのままでも良いと思うんですが、あれはノートと大きさが丸かぶりなんで、差別化が難しいんですよね。ヤリスみたいに完全にスポーツ風に振り切れてしまうとか。車名もいっそパルサーにしちゃうとか・・・なんつって。


現状では、E13型をMT仕様にすることは現実的じゃないですね。しかし「e-power」は非常に運転しやすくて楽しい車なので、MTのガチ仕様じゃなく、例えば家族用とかであれば全然欲しいです。(自分用はもちろんZですが!)



E13型に関して何よりも肝心なのは、「本当に買うとしたらおいくら万円なのかなー」というところ。金額さえ妥協できるなら、先進的な良い車だと思います。ぜひとも試乗してみたい。買うかどうかは家族次第。

e-power搭載車として一段進化し、価格帯としても2段階くらいの大成長をしてしまった新型ノート。コロナがどうとかで経済はヒエッヒエですが、乗り出し200万円後半でも大人気でバンバン売れちゃうくらい景気が回復してほしいものです。



そして発売したばかりのキックスが微妙な立場に。キックスはモニターも付いたアナログメーター装備で、車内装備の先進感はE13ノートよりも少し劣っています。同じe-power専売車で、違いはSUVであるところ。デザインの好みだけで売り分けるのは難しいと思うんですが、どうなんでしょう。