本当に出るんか、というのが発売時の感想。
いつだったかディーラーに行った際に「軽のEVが出ますよ」みたいな話を聞きまして、内心はどこまで本当か疑ってました。GT-Rがマイルドハイブリッド化される!Zもハイブリッドになる!…ってやつは結局ガセだったっぽいじゃないですか。でもSAKURAは名前まで合ってた。じゃあ他の車でも当てろってね。(まぁマーケティング前提のリーク情報なんでしょうけど。)
で、サクラってどうなんでしょうね。完全新規車種風ですが、要するにデイズのEV版と言える。
サクラはアリアをそのまま縮小したデザイン、明らかにアリアを意識しています。大・中・小(アリア・ノート・サクラ)の三段階で攻めるんですかね。
もうリーフを持っている私がサクラを買うことはないです。ないですが、人に勧められる車種かどうか。結構いい線行ってる車だと思いますよ。ただEVに関しては、完全にガソリン車を置き換える車のつもりで買うのは間違ってるし、絶対にガッカリする、そんな車でもある。
もうリーフに乗ってるとなんとなくサクラの使い勝手がわかるんですよ。要するにお得版リーフ。それゆえ不安なところもあります。
(1)2グレード、50万円差。上級仕様なら300万円!
補助金ありきの価格設定なので、サクラのカタログ価格を見るとぶったまげます。全部入りの上級グレードは驚きの約300万円。もうノートが買えちゃう。
これは補助金込みの価格設定なので、今の補助金がいつまで続くかどうかが問題です。ある程度EVが普及してくると補助金がなくなるのは間違いなし。本気で買う気なら早めがいいと思います。
(2) 20kwの電池
電池容量は20kw。完全に割り切っています。この容量では遠出はまず不可能。トータルで120km走れるかどうかだと思います。高速に乗るような行き先に行くような人は買うと後悔間違いなし。
リーフ(40kw)でも結構不安な容量ですからね。公称320kmの走行距離だそうですが、実際は片道100kmの往復(200km?)でも途中で一回急速充電したくなる感じ。容量20kwならこの半分。ガソリン車なら致命的な短さです。片道50kmで帰って来られるかギリギリかもしれない。電池残量30%を切ると結構不安になりますよ。
要するに、走行距離はリーフの半分。実にわかりやすい。
逆にいえば、サクラにプロパイロットはいらないと思うんです。だって高速に乗って遠出することはかなり厳しいから。体感では100kmごとに充電1回は必要と思われます。
SAはだいたい50km毎らしいので・・・各駅停車になりそうですね。SA毎に30分休憩、しかも急速充電では100%までチャージできないので、SAを一つ飛ばすと次まで辿り着けない可能性もあります。これならレンタカー借りた方が絶対安心。
なのでサクラで遠出するのは絶対無理。物理的に不可能なレベルです。遠距離走るならアリア買いましょう。
(3)馬力は軽=64ps、でもトルクは倍!
一応軽規格だから64馬力、しかしEVなのでトルクフルで195Nもあります。デイズのターボ仕様の倍。ちなみにマーチニスモS(1.5L・NA)でも156N。坂道で息切れすることはないでしょう。モーターはトルクが物凄いのが特徴です。
つまり、加速性能では今までの軽自動車では絶対に勝てないレベルです。
なお、リーフは340N、34.5kgfです。購入直後、EVの性能を試してやろうと停止状態からアクセルベタ踏みしたところ、首が取れるかと思いました。そんなにトルクいらない…。
(4)内装の質感は○、サイズはデイズと同じ
試乗はしていないので見ただけの感想ですが、内装の質感は高いです。軽にありがちな安っぽい簡素な内装ではなく、アリア・リーフの下位グレードにふさわしい内装です。シフトセレクターはリーフよりもいいんじゃないですかね。速度計もデジタルコクピットで先進的。E12ノートよりは完全に上です。軽なのに。
シャシーがデイズと共通なので、サイズ的な使い勝手はデイズと同じはず。EVだから室内のレイアウトがおかしかったりすることはないようです。
(5)家庭用蓄電池としても使えますよ
サクラはV2Hシステムで家庭用の蓄電池としても使えます。V2Hシステム自体が高いですが、蓄電池として考えるなら300万円でも結構お得です。蓄電池なら12kw程度でも400万円(定価)くらいするらしいです。サクラなら20kwでタイヤが4つ付いている。
リーフなら40kwで、我が家なら春秋で4日、夏冬で2.5日分使えるだけの電池容量があります。サクラはこの半分ということ。夏場に停電しても丸一日はいつも通り暮らせます。その後は知らん。
家庭用蓄電池は家から動かない(当たり前ですが)のでその前提の容量となりますが、蓄電池メーカーのニチコンでは12kwの製品が「大容量」として紹介されていました。ハイブリッド型で太陽光発電があること前提のようですが、要するに12kwあれば容量的には十分みたいです。
太陽光発電とV2Hシステムがある家を持っている人ならアリアとかもっといい車を買えそうですが…まぁそういうことです。蓄電池としても使える拡張性は良いところです。
こんな感じなので、同じ軽自動車でもガソリン仕様とは比較が難しいです。やっぱり航続距離の短さが気になりますかね。200km走れないのはさすがに…と敬遠する人が多いように感じます。
ただ、これも使い方の問題で、ちょっと近所に買い物に行くとか、家族の送迎で30分走るとか、1日に50kmも走らない人ならこれでも十分です。家に帰ったら充電すればいい。毎日送迎とか買い物で車を使う人なら週に1・2回ってところですかね。
あとは価格?やっぱりちょっと高い。リチウムの価格が高騰していますからね。世界中で蓄電池の需要がかなり高まっています。高級車もどんどんEVに参入してきて、テスラも絶好調。電池の価格が下がるには相当な技術革新が必要なので、少なくとも当分は高いままでしょう。
つまり、価格については諦めましょう。日本人の給料がずっと上がってなかったのが悪い。
全体的な感想。サクラは「デイズにリーフの半分を詰めた車」。これですよ。良くも悪くもね。
EVはガソリンエンジ車でいうところの「エンジンの良し悪し」が曖昧でよくわかりません。単純に馬力が同じエンジンでも、RB26とそのほかでは魅力が全然違うじゃないですか。そういう違いがモーターにはないように思います。エンジンの吹け上がり、エンジン音、クラッチのダイレクト感、高回転になるほどトルクが出る、アクセルレスポンス、こういうのが全部ない。モーターの出力に比例して出るパワーが変わるだけ。
なので、性能的な差はEV同士だと比較しやすそうです。タイカンターボまで行くとちょっと想像できないですが、サクラ・リーフ・アリアくらいならなんとなく想像がつきます。ある意味EVの欠点かもしれません。
カーオブザイヤーも受賞するくらい好調なサクラ。セカンドカーとしては完璧。補助金があるうちに一台いかが?