WECのハイパーカー規定が発表され、トヨタとアストンマーティンの参戦も決まり、プジョーとグリッケンハウスの参戦も予定されている・・・はずだったのに、ここにきて雲行きが怪しくなってきました。
まず、アストンマーティンが参戦を延期。ヴァルキリーを使うところまで決まっていたのに、えらい急な延期となりました。一体何があったのか。
アストンマーティンはF1に参戦することが決まったので、WECにまで注力する余力がないんでしょうか。まぁヴァルキリーのロードカーは、どうせ放っといてもどこかの実物大ミニカーコレクターが買ってくれるでしょうから、WECに参戦しなくても影響は少ないでしょうけど。
2020年9月にはハイパーカー規定の1シーズン目が始まることになっていますが、ハイパーカー規定の発表時点で同クラスに参戦するとされていたのはトヨタとアストンマーティンの2社だけでした。このままだともしかすると、「ハイパーカー規定の初レース」で参戦しているのがトヨタだけになる可能性があります。
現行規定のLMP1に参戦しているレベリオン・レーシングは完全なプライベーターですし、今年のシーズンでレース参戦を終了するそうです。形だけでも2チームが争っている今シーズンと違い、次シーズンは本当にトヨタだけになるかも。
加えて、プジョーの参戦も怪しくなってきました。プジョーは2022年からの参戦を目指しているとのことでしたが、チームを「レベリオン・レーシング」と提携して運営するとなっていました。
でもレベリオンはレース参戦をやめると発表。提携相手がいなくなりました。非常に幸先が悪いです。WECの参戦計画はトタルと組んでそのまま進めるそうですが、あくまで「WECへの参戦」についての話であって、ハイパーカー規定に参戦するとも限らないんだとか。あらら?
「グリッケンハウス」は、アメリカの映画監督のジェームズ・グリッケンハウスが始めたスーパーカー&レースカー屋さん。ニュル24耐に参戦していた「フェラーリ・P4/5」をワンオフで作ったり、オリジナルで作った「SCG003」でレースに参戦したりロードカーバージョンも作ったりしてる人です。グリッケンハウスもWECのハイパーカー規定参戦を目指し開発を進めているそうで、こちらは特に撤退の話はなし。
ただ、グリッケンハウスは要するに「猛烈に車好きな金持ちのおっちゃん」のチームですからね。例えばトヨタやアストンマーティンやプジョーやポルシェがガチでレースしているところに混ざってレースをして勝っていたりすると面白いんですが、トヨタとガチでタイマン張らせるのはちょっと無茶ではないのかと。実力はあると思いますけどね。
こんな感じで、非常に怪しい状態。さらには「LMDh」という新規定も発表され、各チームのプロトタイプ関係の関心はほとんどこちらに向かってしまっています。
LMDhはルマン24時間とデイトナ24時間の両方に参戦できる車両、という目的で作られた新規定で、LMP2のシャシー(4社が製造しているどれかを使う)のようにシャシー部分はある程度共通化させ、スタイリングなどその他の部分は独自性を持てるようにするんだとか。
色んなメーカーがLMDhへ関心を持っているらしいです。何よりもコスト面で有利という部分が強調されていますね。「ハイパーカーも興味はあるけどコストがかかるから、でもLMDhなら・・・」みたいな反応が多いです。なんだかんだで「ル・マン参戦」の意義は大きいんでしょうね。
現時点でトヨタはハイパーカー規定の「トヨタ・スーパースポーツ」の開発を進めるとのことですが、他にどこも参戦しないクラスになってしまうとこれも怪しい。
2020年9月には次シーズンのWECが始まります。実は意外と間がないんですよね。どのチームがどのクラスで参戦しているのやら、現時点では全く予想できません。本当にトヨタはハイパーカーで参戦するんでしょうか。それとも・・・・。