GT500クラスは、なんと上位6チームが「勝てばチャンピオン」という稀に見る接近戦のまま突入した最終戦。なかなかいいものが見れました。これだからレースってステキ。
まぁ正直言うと、チェッカー直後は意味わかんなくてしばらく呆然としてたんですけどね。いつかのル・マンでの、カズキ選手のノーパワー事件の時もしばらく呆然としてましたが、あれはポルシェに抜かれるまで少し猶予があったじゃないですか。だからその間に頭の中を整理できました。ああ、よくわからないけどダメだったんだろうな、と。
でも今回のは違う。最終コーナー立ち上がりで37号車がまさかのスローダウン。なんで!と思っている間に100号車が抜いちゃって、そのままゴール。山本選手もよくわからなかったんじゃないですかね。角度的に、100号車がコーナー立ち上がったときに37号車が何故かスローダウンしてて、ナンデ?と思ってるうちにオーバーテイクしてたはず。その間3秒くらいでしょうか。そんなことあります?
今年度は、23号車の”テールトゥウィン”もなかなかあることじゃなくて、良いもの見れたと思ってたんですけどね。コロナウイルスのゴタゴタで色々ややこしかった分、マモノが帳尻合わせをしてきたんでしょうか。
ファイナルラップで2.6秒差くらいだったので、これは37号車の粘り勝ちだな、と思っていました。何だかんだで平川選手ってすごいよなぁ、ヤマケンもすごいよなぁ・・・と思って油断していました。
このレースは当分語り継がれるでしょうね。ましてやチャンピオン決定の懸かったレースでこんなことになるとは。
37号車スローダウンの原因は恐らくガス欠。攻め過ぎた、あるいは給油が少なすぎた・・・まぁ様々な要因が関わっていることは私でもわかります。
最終戦に限らず、今年度は車の単純な速さで勝ち負けが決まってないことが多いんですよね。シーズン中の各場面でそういうシーンが目立ちました。23号車のテールトゥウィンもその一端。
そもそもの話、ガス欠になったのは多分給油量を攻めたから。今年度は給油について各チームがかなり研究しているようです。
加えて、NSXは燃費が良いらしい。噂によると、エンジン交換後からアンチラグの使用がかなり減っている(使っていない?)らしく、その部分での燃費の違いが大きいんだとか。逆にトヨタのエンジンは燃費が悪くなったそうな。(日産は不明)
第7戦でホンダが上位を独占していましたが、理由は燃費の良さもあるんでしょうね。燃費が良い=要所でパワーの出るエンジンマップが使える=安定して速い、ということですから。
どういうわけかダンロップユーザーの64号車も絶好調。第1戦は完全にスープラ祭りだったのに、いつの間にかNSXがかなり巻き返してきていました。
さらに、今年度は各レースで「セーフティカー」が乱入するお陰で、ピットタイミングを遅らせたチームが尽く巻き込まれてしまい、ピットタイミング次第では全く勝負にならなくなることが多発していました。
流石にそんなレースが続いていると各チームも学習するので、最終戦ではピットが開いた周回で続々とピットインしていました。リスクマネジメントですよね。
ただこの戦略は燃費との兼ね合いがあって、燃費の悪い車は早くピットに入ってしまうと最後まで走れないらしく、そのあたりの駆け引きもあるわけです。
結局最終戦ではセーフティカーは入らなかったんですが、セーフティカーの亡霊みたいなものが各チームの戦略に影響を与えて、37号車の焦りに繋がったんだとしたら?・・・とか考えちゃいます。
一方で、NSXには燃費面では少し余裕があったわけで、しかも追いかける側なら失うものはない、という強みもあったでしょう。100号車は序盤から攻めて攻めて、ラストで山本選手のプレッシャーを受け続けた平川選手が、燃費の厳しい中でペースを上げて、その結果力尽きたと。
あと1周どころか「あと数百メートル」、富士の最終コーナーからチェッカーラインまで全開で走れる燃料があれば勝てたわけで、しかも37号車は序盤のペースが良かったので少し余裕があったんですよね。
もし37号車が勝っていれば、平川すごいヤマケンすごい、ニックも良かったね!、で終わるはずだったのに、本当に悔しいレースだったと思います。
実は100号車もチェッカー後に途中でガス欠で止まって牽引されていたので、本当に両車ギリギリのところで戦っていたようです。
チーム国光をずっと支援してきた「レイブリッグ」のブランドが今シーズン限りだそうですが、これ以上無い結果になりましたね。本当に素晴らしいレースでした。
ところで、こんなアツいレースにも関わらず、日産・GT-Rは目立たない地味なレースになってしまいました。
スタート直後に23号車がいきなり6位から1位にジャンプアップして「まさか!?」と思わせたこともありましたが・・・レース後に振り返ってみると、「あーそんなこともありましたねー」くらいの些細な出来事になってしまいました。1位になって以降はズルズルと後退し、最終的にはラップダウン。他のGT-R勢もいいとこなしでした。
というか、23号車以外のGT-Rが全体的にイマイチなんですよね。ホンダもトヨタも、多少の戦力差はあるとはいえ、各チームが要所要所で良いところを見せてるんですよ。でも日産にはそれがない。何故?
例えば、究極的な部分で「車の強さ」を比べた時にGT-Rは圧倒的に不利だったとして、それを補う戦略的な部分でどうにか戦えているのが23号車だけ、とか?
まぁ鈴鹿でのテールトゥウィンも、実力と言うよりは「運」の要素が大きかったですし、23号車ですら本質的な部分での強さがスープラ・NSXと比べて足りていなかったと思います。
これはあれですね。心機一転ベース車両をZ35にするしかないですね!(個人的希望)
むしろ今シーズンに関しては、23号車が2勝もできたことが驚きです。これでもし、初戦からスープラと張り合えるような強さがあれば、もしかするとGT-Rがもっとチャンピオン争いに関わることができたかもしれません。
シーズン序盤から、特にスープラはドラッグが少ないとかで、直線が速いことが特徴でした。ただ最終戦に限っては、GT-Rも直線ではスープラと同等だったように感じます。NSXはスープラと比べると少し不利な感じ。アンチラグを使ってないから立ち上がりが悪いんでしょうか。しかしそれでもアンチラグを使わないメリットがあるんでしょうけどね。
GT-Rの、特に23号車はエンジンがかなり早い段階で壊れちゃったので、本来のように「スペック2」みたいなエンジンを投入できてないと思うんです。松田選手曰く「何もしてない」。序盤の日産陣営の雰囲気もかなり危機感を持っていたようですし、日産はシーズンを通してトヨタ・ホンダに比べて相当不利だったことは間違いないでしょう。(そういえばドラシャをポキポキ折ったりもしてましたよね)
一体何をしたんでしょう。これでスープラと直線で勝負できていたということは、燃費面でかなり妥協してたんでしょうか。日産はこの辺りの情報発信が少ないので、真相は謎のままです。詳しくAuto Sportsで!ってとこですかね。
先日、知人との飲み会(もちろん厳戒態勢で行きましたよ)での会話の中で、私の超絶ペトロヘッドの話になったんですよ。この時に限らず、よく「車が好きならイニDとかワイルドスピードとか見るんですか?」と言われるんですけどね。私はこれらにあまり興味がないんです。イニDは深夜のアニメを途中までちょっと見てたくらい(11000回転のエンジンが出てくる付近)、ワイルドスピードは1・2作めを見たのみ。それもTVのロードショーで。
え、なんで!?と驚かれるんですけどね。案外こういう人って多いんじゃないでしょうか。
だって、リアルのレースのほうが圧倒的に面白いじゃないですか。こんな↑レースが作り話ではなく生で見られるのに、なんでわざわざ誰かの考えた筋書きを見なきゃならんのだと。
それに、車系の作品って不自然なところが多くないですか? イニDの場合、「ハチロクでこんなに速いなら、他の車ならもっと楽に勝てるじゃねぇの?」と終始思っていました。ぶち壊しなのはわかってますけどね。
ワイルドスピードについては、話の内容やスープラ・R34よりも、あちこちで活躍するエクリプスが気になって仕方なかったです。ランエボはわかるけどなんでエクリプス?(エクリプスがアメリカで人気なのは知ってますが・・・)
いずれも作品として面白いのもわかるんですが、実際のレースと比べてどうか?と聞かれると、圧倒的にリアルレースの方が良い、と私は思うんです。
別に「車の漫画とか映画を見る人の程度が低い」って言いたいんじゃないですよ。ただ、それだけレースって面白いよねって話です。ただ、どういうわけか私の周りにはこういう視点の人って居ないんですよ。特に変わった考え方でもないと思うんですけど。
同感だと思ってくれた人は、たぶん私と仲良くなれそうです。どこかで会ったら握手しましょうね。
残念ながら今年度のSUPER GTはこれで全レース終了。レースに限らずずっとコロナウイルスに振り回された1年でしたが、そのお陰でスケジュールが過密になって、高頻度でアツいレースが見られたことは非常に楽しかったです。
まぁ来年度も同じようになってほしいとは思いませんが。F-1みたいに年間20戦くらいしてくれたら言うこと無いんですが・・・。